株式投資はマネーゲームなのか?
日本人にとって、「株式投資」は、一部のギャンブラーが手がけるマネーゲームの様に捉えられることがあります。NISAやiDecoといった様々な投資促進の政策が取られている中でも、未だにそうした感覚が抜けきっていない様です。
若年層では少しずつ啓蒙が進んでいる様にも感じますが、自分と同世代の20代後半から30代前半の人たちで交友がある人の中でも、実際に株式投資をしているのはごく少数派に思います。もちろん、公言しないだけ、という可能性も残りますが、お世辞にも金融リテラシーが普及しているとは言えない状況だと感じます。
このことを日常生活を送る中で如実に感じるのが、
「株をやっている」
という言葉です。
まるで、「競馬をやっている」「パチンコをやっている」という様に、ギャンブル(僕はそう認識をしています。娯楽要素もあるとは思いますので、否定したいわけではないです)と同列のニュアンスが含まれている様に感じます。これに、強い違和感を感じるのです。
果たして、株式を保有することは、ギャンブルなのでしょうか?
株式は資産運用の中の選択肢の一つ
僕の考えは、もちろんノーです。そう思うためには、少しだけ経済や金融の観点から考える必要があります。まずは、世の中で言われる「資産運用」という言葉を掘り下げなければいけません。
「資産」というと、次の様なものが挙げられます。
「運用」とは、シンプルに言えば、自分が持っている「お金で測ることができる資産」を、上のリストのいずれかの形で所有することです。
ですから、資産運用は、「自分のお金を、様々な形で持っていること」状態そのものを指します。
株式や債権を持っていない人も、銀行預金で「資産運用」をしている、ということになります。しかし、一般常識として銀行預金が「資産運用」として捉えられていないのは、
こういった理由から、現金の保管場所程度にしか感じられないからだと思います。
預金も株式も、資産運用です
いわゆる資産家の家に生まれない限りは、学校を出て働きに出ると、お給料として「現金」、「預金」という「資産」を受け取ります。
そして、「現金」や「預金」は同時に日常生活の決済に利用できるので、多くの人がその支出に備えるため、そして、万が一の備えとして、預金を積み立てていく。ほとんどの人はこうして資産形成をしているはずです。
言い方を変えれば、銀行預金しか持っていない人でも、立派な「資産運用」をしているということです。
「株をやっている」人は、資産の置き場を一部「株式」という資産に割り当てている、というだけのことです。細かいことを言うと、株式を発行している会社にはいろいろありますから、その良し悪しは別の論点としてありますが。
株式や債権に縁がない、と思っている人でも、実は「資産運用」をしているのです。投資をしているのです。
ある程度知識のある方からしたら一見当たり前に思える様なことですが、僕が違和感を感じる「株をやっている」と言う表現は、こうした捉え方が浸透していないことから生まれてくるんだろうな、と考えています。
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