アベノミクスが佳境に
ここ数日は日経平均株価の乱高下が続き、今までのように一本調子で株高まっしぐら、という状況ではなくなってきました。さらに、円安の負の側面がついに物価上昇として現れてきました。
Apple製品が円安分を値上げ
円安の進行により、ついにAppleがiPad、iPad miniシリーズを最大1.3万円値上げするようです。今回はiPad系の価格変更のみで、とりあえずMacシリーズの価格は据え置きするみたいです。
具体的にはiPad miniが4000円値上げで3万2800円、iPadシリーズのフルスペックモデルRetinaディスプレイ搭載の128GBモデルはなんと1万3000円も値上げするとのこと。うーん、円安の影響は思ったよりも大きいみたいですね。
輸入品はそろそろ値上げの時期か
値上げしたApple以外でも、円安の影響を受けているのがブランドものです。シャネルが6月1日に革製品を値上げする他、フェンディ、プラダ、モンブランなどの高級ブランドも次々に値上げを決めています。
物価上昇!目標達成へ前進?
アベノミクスではもともと2%の物価上昇を望んでいました。では今回の輸入品の値上げで願いが叶ったのでしょうか。
答えは、「NO」です。
円安転嫁のインフレにあまり良いことはない
なぜなら今回の値上げは、円安で利益が目減りするAppleやシャネルなど海外のメーカーが、円で表示する価格を適当な水準に合わせた結果、円で表示する価格が上がったにすぎないからです。
例えば、海外のある飲料メーカーがあったとします。そのメーカーは、1ドルが50円だった時に1本2ドル、つまり、日本円で100円の缶ジュースを販売していたとします。
日本で100円で売れば、2ドルの売り上げがあり、十分に利益を出せました。
そこで為替が円安、ドル高になって1ドル100円になったとします。言い換えると、円の価値が半分になってしまった、と言えます。
価格を100円から変更しない場合、日本での売上100円は、ドルでみると1ドルにしかなりません。メーカーはこれでは赤字になってしまいます。
利益を安定して出すため、このメーカーは従来と同じ分の売上を”ドルで”手にするために、日本での価格を200円に値上げしました。すると、1ドル100円ですから、200円は2ドルとなり、円安になる前までと同じ分の売上を確保できることになるのです。
これが、Appleやシャネルが値上げに踏み切った理由、仕組みです。
最大の問題点は給料が増えていないこと
ここでの最大の問題は、日本人の貰う給料はまだ実感として増えていないということ。
輸入品の価格は上がって支出が増えるものの、収入は増えない、ということになり、家計は苦しくなります。これらはアベノミクスで円安が進行し始めた頃に恐れられていました。それがついに起こり始めています。
行きすぎた円安もまた厄介
現在は急激な円安の流れこそ止まっているものの、これからさらに円安に勢いがついてしまう場合、Appleやシャネルなどのように値上げする企業が増え、一時的に日本人は苦しい思いをします。
日本企業が本当の意味で元気になる必要がある
アベノミクスの仕組み的にはこのように一時的に円安で家計が苦しむ局面も想定しているとは思います。この状態から抜け出すポイントは、日本企業の稼ぐ力、自信をいかに引き出すか、です。
現在輸出企業を中心に円安の影響で収益を伸ばしている企業が増えています。しかし、これは文字通り円安の恩恵であり、本当の意味で日本企業が力をつけたのではないのです。多くの企業は、為替で一時的に利益があがったからといって思い切った投資や賃金の値上げに踏み切れないでいます。いつ円高に戻るかわからないのに、大規模な設備投資や、賃金の値上げなんてできない、というのがホンネです。
アベノミクスは、これらの企業を勇気づけることができるのか、アベノミクスはついに佳境にさしかかったと言えるでしょう。
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