20年以上続いたセンター試験が廃止へ|5年後、大学入試の形がガラリと変わるかも?

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センター試験が廃止へ

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2013年6月6日、政府の教育再生実行会議の会合にて、現在のセンター試験を廃止しあたらしい新しい大学入試の枠組みをつくる案が発表されました。5年後をメドににセンター試験を廃止するということなので、大学入試の現状はガラッと様相を変えることになりそうです。

なぜ廃止?過度なエネルギー集中型の入試への危機感

ではなぜ、センター試験を廃止するのでしょう。これには大きく2つの要因があります。

photo credit: Camilla Hoel via photopin cc

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まず1つめ。僕を含め、大学入試といえばセンター試験、という印象が強いのですが、今回の問題点はまさにそこです。センター試験があまりにも重要過ぎて、学生の基礎学力を測る機会としてあまり上手く機能していない、というのです。

現在では、たとえば東京大学の入試に代表されるような「足切り」の存在があり、一点単位で学生をふるいにかけるためのツールとしての使われ方をされており、それを政府は歪んだ使われ方だ、としています。

AO入試増加での学力低下

そして2つめに、AO入試の増加による学力低下が挙げられます。AO入試は一般の学力試験以外にも独自の試験を課すもので、大学独自の判断基準で合否を判定するものです。学力を問わないAO入試がひろがり、これがこの10年でかなり増加しています。頑張って勉強しなくても大学生になれる、という現状に、政府は危機感を募らせているようです。今日は文部科学省からデータも調べてきてみましたが、確かにその増加は数字にあらわれていました。実際のデータが気になる方は御覧ください。

ちょっとだけデータ分析

まずは、平成13年度のデータがこちら。

AO15

AO入試で大学(国立、公立、私立含め)に入学した人は15,886人です(表の国、公、私の各人数を合計しました)。それでは5年後の平成18年度はどうでしょう。

AO20

平成18年度はこのように35,389人と、5年間で倍増しています。ではさらに5年後、平成23年度を見てみましょう。

AO24

はい、平成23年度は53,239人です。

このデータから、AO入試での入学がかなり増加していることが読み取れます。(今回は学生全体のなかでの割合は考えていませんので、一概に増加、とはいえませんが)

大学生の学力低下を裏付ける統計データは見つけられませんでしたが、全大学生のなかに試験を受けずに大学へ入った人を混ぜれば、平均の学力が下がると推測できます。

高校生の大学受験事情はどう変わるのか?

photo credit: albertogp123 via photopin cc

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では、実際にセンター試験がなくなって、どうなるのでしょうか?

文部科学省では、高校在学中に複数回行われる学力テストや、面接、小論文など様々な手法で合否判断をするという案が出てきているようです。これにより、一発勝負のセンター試験にたまたま失敗してしまう、ということがなくなり、本来の実力を測ることができる、というのです。

この複数回の学力テストは、海外の入試制度を参考にした案です。米国では、年に複数回受けられる大学進学適性試験「SAT」の成績に加え、高校の成績や小論文、面接などが総合的に評価されます。フランスの大学入学資格試験「バカロレア」は記述と口述の試験で受験生の多様な側面を評価することが可能です。

もちろん賛否両論。メリットがあればデメリットもある

これに対する意見はもちろん真っ二つ。政府の思惑通り学力は上がるかもしれませんが、部活動や学業以外の活動も学生にとって重要なもの。複数回の学力テストへの勉強に追われて高校三年間学校の勉強しかできないようでは、とても「教育」とはいえないのではないでしょうか。また、複数回実施することによる公平性の問題も指摘されています。

統計データ 文部科学省 報道発表

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