日本は国家破綻する!?
長期金利の急上昇をうけて、なぜ警戒するべきなのか。
それは、現在ですら財政が最悪の状況にある日本が、国家破綻する可能性があるからです。
金利とは
国債や社債、そして預金には「金利」というものがあります。

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現在の日本では預金の金利は限りなくゼロに近いため、あまり実感が持てませんが、預金というのは、言い換えれば銀行にお金を貸すということ。
手元に置いておけばすぐ使えるのに、わざわざATMで下ろさないと使えなくなってしまうのに、預金しています。
そのため、不便して貸している分、私たちはほんの僅かですがお金をもらっています。試しに通帳を見て頂ければ、「利息」として僅かながら預金が増えているはずです。(本当はもう少しロジックがありますが端折ります)
これが金利を感じる一番身近な例です。
この預金と同じように、「国債」は国に、「社債」は会社に、一時的にお金を預けていることになるため、その分の金利がもらえます。
国債や社債は3年や5年、10年などの期間が定められていて、長く預ければ預けるほど、金利は高くなります。この理屈としては、自分が自由に使えるお金を長く預けるのですから、長ければ長いほど、それ相応のお金が欲しいですもんね。簡単にはそういう理屈です。
長期金利が急上昇している
今回、国債の長期金利が急上昇している、という事がニュースになっています。
もう少し詳しく言うと、この長期金利というのは、「国債を買ったとき」と「10年たってお金を返してもらうとき」の金額を比べて、どれだけ儲かるか、という指標だと思ってください。長期金利が高ければ高いほど、国債を買った人は儲かります。
なぜ長期金利は上昇するのか
では、そもそもなぜ長期金利が上昇しているのか、についてです。
先程も書きましたが、長期金利は「国債を買ったとき」と「10年たってお金を返してもらうとき」の値段を比べて計算されます。
さて、ここで、簡単に説明するために、ここでの国債をこのように定義します。
10年後に100円支払う約束の国債が、現在98円で売られている。つまり、「国債を買ったとき」と「10年たってお金を返してもらうとき」の関係に当てはめると
「国債を買ったとき」は98円
「10年たってお金を返してもらうとき」は100円
ですから、(もらえる額)ー(払った額)つまり100円ー98円=2円の得です。
この2円の得の部分が金利だと思ってください。(厳密には利回りといいます)この国債の定義を考えた上で、今回起こっている事態を当てはめてみると、こうなります。
「国債を買ったとき」は90円
「10年たってお金を返してもらうとき」は100円
10円の得です。つまり、金利が2円から10円に増えています。
これが、長期金利の上昇です。このロジックの、あるところに注目してみると、今回のニュースがよくわかります。
それは「国債を買ったとき」の値段です。上の2つの例で、唯一変化しているのは、この「国債を買ったとき」の値段、つまりは国債の価格です。
長期金利の上昇は、国債価格の下落と言い換えることができるわけです。これがこのニュースのキモです。
(この国債価格の下落はなぜ起こるのか?というところは、説明が長くなるので省略します。一言でいうのであれば、最近の株価の上昇に関係しています。)
さて、この場合、長期金利が上昇しているのですから、10年先にもらえるお金が急上昇している、ということですね。
なんだ!!いいことじゃん!!と思いますよね?
自分が国債を購入する立場であれば、長期金利が高ければ高いほど10年後に儲かるので、願ったりかなったりなわけです。
ただ、そうやって一筋縄ではいかないのが経済、金融です。
長期金利の上昇がもたらすもの
では、なにが一筋縄ではいかないのか。
それは、長期金利の上昇の先に待っているのは、
- 企業の投資控え
- 国家の破綻の可能性
だからです。
まず企業の投資控えは、国債の例で立場をひっくり返してみればわかります。
企業はお金を貸してほしい方です。金利が上がれば、余分にお金を払わないといけないので、投資を控えるようになってしまいます。投資を控えてしまえば、新しい製品を開発することもできませんから、経済が停滞してしまいます。そうすれば、私達は務める会社から十分な給料をもらえなくなってしまいます。
次に国家の破綻の可能性についてです。

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これも同じように、立場をひっくり返すとよくわかります。このまま長期金利が上がっていくとすると、将来国が支払うお金はどんどんと膨れていくことになります。現在の日本は国の財布に入ってくる収入のうち、半分近くをこの国債や公債でまかなっています。つまり、私達の生活に置き換えれば、収入の半分をサラ金で借りて生活しているようなもの。(参考:平成24年度一般会計予算)
そんなギリギリの自転車操業をしているなか、もしもサラ金の金利がどんどん上がっていけば、払うべき返済総額がどんどんと膨らみ、ついには返済できなくなり、破産してしまします。
なんて、極端な、、と思う方もいるかもしれませんが、このまま長期金利が上昇していくばかりであるならば、日本はこれと同じ結果、つまり国家破綻しうる、ということです。
経済は一筋縄ではいかない
このように、一筋縄ではいかないのが経済、金融です。
今回、拙いながらも解説したロジックの他にも、様々な要素がからみ合って経済、金融は成り立っています。
アベノミクスは、その数ある要素のなかから、政府、は日銀が直接操作できる要素をいくつかイジったに過ぎません。もちろん、それよってデメリットも生じうるのです。
その影響、効果については、その他の多くの要素がからみ合って表面化してきます。プラスに出るか、マイナスに出るかはいろいろな角度から考える必要があります。これは、円安でトヨタは最高益を出したが、海外旅行を扱う会社が減益になったことを考えればわかっていただけると思います。
アベノミクスも万能ではありません。そもそも、経済を完全にコントロールできる国なんてほとんど存在しません。ですから、今後もさまざまな面から日本経済、世界経済を見ていく必要があるのです。
拙い解説でしたが長期金利のニュースを少しでも理解していただけたら幸いです。それでは。
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